映画『僕が愛したすべての君へ(2022)』と『君を愛したひとりの僕へ(2022)』は、乙野四方字(おとのよもじ)さんによる同名の小説を原作とした日本のアニメーション映画です。
どちらの映画も、並行世界を行き来する能力を持つ高校生・暦(こよみ)が、それぞれの世界で出会った女性たちと恋に落ちるというストーリーになっています。
この映画の特徴の一つは、視聴する順番によって映画の印象や結末が変わる点です。これは、「高崎暦」と「日高暦」という二人の暦が異なる選択をしたことから生じるそれぞれの人生を描いているためです。視聴者は、彼らの選択によってどのように人生が変わるのか、そしてどちらの暦が幸せなのかを考えさせられます。
そして「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」というタイトルの意味がわかった時、あなたはこの映画を見て良かったと思うはずです。
そんな『僕愛』と『君愛』、どちらから見るべきか迷いますよね?
記事のポイント
- 「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」をどちらか見るべきか
- 「僕愛」「君愛」のストーリーの違いはなにか
- 「僕愛」「君愛」をより楽しむための情報について
- 映画のモデルとなった場所はどこか
\『僕愛』『君愛』を今すぐみる/
本ページの情報は2024年3月時点のものです。
最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
ちなみに筆者は『君愛』⇒『僕愛』の順番で視聴しています。
『僕愛』と『君愛』どちらから見るべき?|答えはあなた次第
公開年 | 作品名 |
---|---|
2022年 | 僕が愛したすべての君へ |
2022年 | 君が愛したひとりの僕へ |
『僕愛』『君愛』はどちらか片方だけ見れば良いという映画ではなく、2つを見てはじめて全体の内容が理解できる映画になっています。
そういった意味では、映画館よりも動画配信サービスなどで視聴するのに適した映画かもしれません。(映画館で2回映画を見るとなると、結構な金額になりますから)
では、『僕が愛したすべての君へ』と『君が愛したひとりの僕へ』はどちらから見るべきなのか?
それは、あなたの好みと、何を映画に期待するかによって異なります。筆者としては、予告編をみて、
- 栞を軸にして映画を見てみたいと思ったら『僕愛』『君愛』の順番
- 和音を軸にして映画を見てみたいと思ったら『君愛』『僕愛』の順番
で見ることをおすすめします。
また、予告編にもある通り『僕愛』から見るとちょっと切ないラブストーリー、『君愛』から見ると幸せなラブストーリーとなっていますので、自分がどんな結末で終えたいかで順番を決めるのもありです。
さらに、原作者である乙野四方字さんはTwitter上で以下のよう紹介しているので、参考にしてみてください。
『僕が君の名前を呼ぶから』は『僕愛』『君愛』のスピンオフ作品で、現在は小説で見ることができます。暦と栞が出会うことのなかった世界が描かれています。
人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された時代──虚質(きょしつ)科学を研究する母と専業主夫の父とともに暮らす今留栞(いまどめ・しおり)は、中学2年の夏休みに訪れた元病院の敷地内で、内海進矢(うつみ・しんや)という青年と出会う。彼は鬼隠しに遭って姿を消した少年について調べているというのだが……別の並行世界を生きた、もう一人の栞の物語。『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』に続く待望のスピンオフ長篇
引用元:Amazon
【追記】
電子書籍サービスのdブックなら、初回登録時に50%OFFのクーポンを利用でき、オトクに『僕が君の名前を呼ぶから』を読むことができます。
『僕愛』と『君愛』のストーリーの違いは?|あらすじ・声優・主題歌
『僕が愛したすべての君へ』(通称:『僕愛』)と『君を愛したひとりの僕へ』(通称:『君愛』)は、同じ設定を共有しつつも違う視点から描かれた二つの作品です。
主人公の名前も共通して「暦」ですが、『僕愛』では母親と暮らす「高崎暦」が主人公で、『君愛』では、父親と暮らす「日高暦」が主人公になります。
両作品とも、異なる視点から並行世界の恋愛を描くという特徴を持っていますが、それぞれ監督、主題歌、ヒロインが異なるため、見る人によって「僕愛」が好きだったり、「君愛」の方が好きだったりと好みが分かれる作品に仕上がっています。
僕が愛したすべての君へ(2022)
上映時間 | 102分 |
監督 | 松本淳 |
主題歌 | 「雲を恋う」須田景凪 |
キャラクター | ・高崎暦(CV.宮沢氷魚)老年期(CV.西岡徳馬) ・滝川和音(CV.橋本愛)老年期(CV.余貴美子) ・佐藤絃子(CV.水野美紀) |
あらすじ(タップして表示)
幼い頃に両親が離婚した高崎暦は、母の実家で祖父母と愛犬のユノと共に暮らしていた。ある日暦は祖父と口喧嘩してしまう。そして口喧嘩をしたまま、祖父は亡くなってしまった。
後悔していた暦だったが、彼はあることがきっかけで並行世界へ飛ばされ、そこでは祖父は生きており、変わりに愛犬のユノが亡くなっていた。しかし翌朝には元の世界に戻っていたのだった。
高校生になった暦はある日クラスメイトの滝川和音に声をかけられる。彼女に「自分は85番目の並行世界から来た滝川和音で、あなたとは恋人同士だ」と告げられる。
そしてそのことがきっかけで暦は和音のことを次第に意識するようになるのだったが…。
「高崎暦」と滝川和音を中心に描かれる本作。高校生活など日常が多く描かれており、青春映画としての王道のストーリ展開に加え、タイムパラレルと恋愛という独特の設定が秀逸です。
君が愛したひとりの僕へ(2022)
上映時間 | 102分 |
監督 | カサヰケンイチ |
主題歌 | 「紫苑」Saucy Dog |
キャラクター | ・日高暦(CV.宮沢氷魚)老年期(CV.西岡徳馬) ・佐藤栞里(CV.蒔田彩珠)老年期(CV.余貴美子) ・佐藤絃子(CV.水野美紀) |
あらすじ(タップして表示)
両親が離婚し父に引き取られた日高暦は幼い頃、虚質科学研究所に勤務している父から並行世界やパラレルシフトに関する概念を教えられる。そこで暦は佐藤栞という1人の少女に出会う。
愛犬のユノが事故で亡くなったと知った暦は、栞から並行世界へ移動できる「IPカプセル」の存在を知らされる。ユノにもう一度会うために暦はカプセルを使って並行世界へと旅立つ。そこはユノが生きている変わりに、大好きな母方の祖父が亡くなっている世界だった。
幼馴染の関係からお互い恋心を抱くようになる暦と栞だったが、暦の父と虚質科学研究所の所長で栞の母である紘子が再婚することを知らされる。そして、2人は互いが兄妹にならない並行世界への駆け落ちを決意するのだったが…。
「日高暦」と佐藤栞を中心に描かれる本作。こちらの作品の方がSF要素が強め、ラストに流れるSaucy Dogの主題歌「紫苑」が感情を揺さぶり、涙腺崩壊間違いなしです。
『僕愛』『君愛』をより楽しむために|並行世界に関するワードを解説
『僕愛』『君愛』はいずれも異なる分岐点によって生じた並行世界を題材としてラブストーリーです。映画では並行世界に関するワードがいくつか登場します。
中には難しいものもありますので、ここでわかりやすくご紹介します。
「並行世界」とは
量子力学の多世界解釈によると、何かを選択する際には、選ばれなかった他の選択肢についても、それぞれ異なる結果が実現している平行世界が存在しているとされます。
つまり、観測者が何かを観測するたびに、全ての可能な結果がそれぞれの平行世界で実現しているのです。
「パラレル・シフト」とは
「パラレル・シフト」とは、選ばなかった選択肢を追体験することができる現象です。この体験では肉体はこの世界に留まり、意識のみが少しの選択の違いを持つ近い「並行世界」へ移動します。
この異なる世界で一定の時間を過ごした後、元の世界へと意識は戻ります。物語内では、このように意図的に異なる世界への移動を起こすことを「オプショナル・シフト」と称しています。
「IP端末」とは
「IP端末」とは、自分がどの並行世界に移動しているかを確認するための装置です。この装置は、映画の中で主人公の和音が腕時計のように身につけているアクセサリーで、異なる平行世界間での位置や状態をユーザーに知らせる機能を持っています。
この端末を使うことで、ユーザーは自らが存在する並行世界の具体的な情報を瞬時に把握でき、安全かつ効率的に異なる世界を探索することが可能になります。
「ゼロ世界」とは
「ゼロ世界」とは、個人が生まれた際に測定される「IP」と呼ばれる数値に基づいて定義される、その人にとっての原点となる世界です。この「ゼロ世界」は「IP端末」に登録され、その人が生まれた時の状態を基準点として保持します。
この基準を用いることで、個人が現在どの並行世界に存在しているのかを正確に観測し、理解することが可能になります。これにより、異なる並行世界を訪れた際にも、自分が元の世界へとどのように戻るかを確実に把握できるようになります。
「IPカプセル」とは
「IPカプセル」とは、意図的にパラレルシフトを起こすための装置です。この装置は、映画の中で登場人物の暦が並行世界に移動する際に使用する重要なツールとして描かれています。ユーザーがこのカプセルに入ることで、並行世界へ移動することができます。
「アインズヴァッハの海と泡」とは
並行世界(パラレルワールド)の概念を説明するために、佐藤紘子が考案したモデル。虚質空間を海、並行世界を泡と考え、海底で生まれたひとつの泡を原始世界とします。
さらに、海底方向を過去、水面方向を未来と考える。海底で生まれた泡は、大きなったり分裂したりしながら、上へ上へと浮かんでいく(=未来へと進む)。このとき分裂した泡が並行世界です。
もう少しわかりやすく説明すると、
森全体を虚質空間、つまり全ての可能性が存在する場所と考えます。そして、その森の中に生えている一本の苗木を原始世界とします。この苗木は、時間と共に成長し、大きくなります。これは、泡が海底から水面へと浮かんでいく様子に相当します。
苗木が成長するにつれて、新たな枝が分岐して生えてきます。これが並行世界の誕生を表しています。一本の木から分岐した枝は、それぞれが異なる方向へと成長し、それぞれ異なる形を持つ木となります。これは、泡が分裂して新たな泡(並行世界)が生まれる様子に相当します。
そして、枝が分岐するたびに新たな可能性が生まれ、それぞれの枝が独自の道を進むことで、無数の並行世界が形成されていくと考えることができるのです。
虚質空間とは
虚質科学を研究する上で想定された概念上の空間。世界は”分子”で構成された物質空間と”虚質素子”で構成された虚質空間が重なってきていると考えます。
また、虚質空間は”変化するための場”とされ、この世に流れる時間とは変化のこと、すなわち”違う状態が連続することである”としています。その”違う状態”を生み出すのが虚質素子になります。
例えるならば、物質空間を楽譜、虚質空間を音楽と考えます。楽譜は具体的な形を持ち、音符や拍子などの情報を具体的に表現します。これが物質空間に相当します。一方、音楽は楽譜から生まれますが、その存在は形を持たず、感じることでしか理解できません。これが虚質空間に相当します。
そして、一つの曲は楽譜(物質空間)と音楽(虚質空間)が重なって初めて成立します。楽譜だけでは音楽を奏でることはできず、音楽だけではその構造や形を理解することはできません。しかし、両者が重なることで、我々は音楽を理解し、感じることができます。
また、虚質空間は”変化するための場”とされています。これは、音楽が時間と共に変化し、進行することに相当します。音楽は静止したものではなく、常に変化し、進行します。その変化、すなわち”違う状態が連続すること”が音楽の時間です。
そして、その”違う状態”を生み出すのが虚質素子になります。これは、音楽を奏でる演奏者や楽器、さらには聴く人の感情や状況など、音楽を形成する要素全てに相当します。これらの要素が連続的に変化し、新たな状態を生み出すことで、音楽は進行し、我々はそれを体験することができます。
映画のモデルとなった場所は?|大分県が舞台に
原作者の乙野四方字さんは大分県豊後大野市出身で、実際に多くの場所を訪れ、その中でたくさんの魅力的な場所に出会いました。そのため、『僕愛』と『君愛』という作品は大分県が舞台に設定されています。
【まとめ】映画『僕愛/君愛』を見る順番|好きな順から楽しもう
本記事では、視聴する順番によって映画の印象や結末が変わる映画『僕愛』『君愛』の見る順番、あらすじ、声優、その他映画を楽しむための情報について紹介してきました。
- まずは映画の予告編を見てみましょう。予告編を通じて、どちらの映画が自分の気分や好みに合っているかと考えてみましょう。
- 栞を軸にして映画を見てみたいと思ったら『僕愛』『君愛』の順番がおすすめ。
- 和音を軸にして映画を見てみたいと思ったら『君愛』『僕愛』の順番がおすすめ。
上記記事を参考に、素敵な視聴体験をして頂ければ幸いです。